『木に登りたい!』保育者がどこまで手伝う?②  〜子どものイマココを見る〜

『木に登りたい!』保育者がどこまで手伝う?②前篇  

〜子どものイマココを見る〜


相手が「いま、どこにいるか」。

「どこに」というのは場所ではなくて、成長の段階というか、流れというか、学びの過程のどこかということ。タイトルにも書いたように「イマココ」を読み取ることは保育者の重要な仕事。

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個人的には、基本的には身体遊びの中では子どもの身体を触らないようにしています。木登りでは手伝いませんし、ブランコはおしません、「大人がいないと遊びが成立しない」という状況に陥れたくないからです。

「のぼらせて〜」「押して〜、おして〜」「手伝って〜」などという言葉をループで聞き続けるほど苦しいことはないと思っています。。

「大人がいれば出来たはず、大人がいないと楽しくない」という思いを持ってほしくない。


極端なことを言うと、保育者を頼らせることで保育者の存在意義を成立させようとしているように思えてしまうからです。保育者には他の存在意義があるはずなのに、「遊びの中で頼る人」という立場を構築しなくてもいいのになと思っています。


一時間子どもたちが「てつだってー」、しか言わないで遊ぶということがいいことだと思えませんし、保育園で他の子ども達と一緒にいる意味が無い。大人の方しか見ていないのだから。


大人に向かって「手伝って手伝って」攻撃が始まったら、「私は手伝わないけど、◯◯さんがさっきやってたみたいだから聞いてみたら?」と促してみたり、ブランコも「子ども同士で押しあえばいいのでは?」というように働きかけます。

「子ども同士作戦」がうまくいかないと子ども自身が判断すれば、彼らは他の遊びを始めることもあります。ブランコを楽しめなかったから「かわいそう」ではないと思っています。ブランコを押すことを巡って子ども同士の協力や駆け引きがあって、「もうできないから砂場行こう!」となるまで工夫があり、一連の遊びであり、社会的な活動でもあります。

できなかったからといって、ブランコが嫌いにはなったりしません。


少なくとも積極的ネガティブなイメージは作られていないですからね!

この時の子どもたちの「イマココ」は「やってみたいけどやれなくてもまあいいか。クラスメイトと遊べると楽しい・充実している」とか。


だから、公園で「ブランコも押してくれないんだよ。あそこの園の先生は」なんてことをいわれても「わかってないなー」と開き直りましょう(笑)


ブランコを漕いでいるのを見ていて、もうちょっと足を曲げれば勢いがつくかもと思えば「もうちょっとあし曲げてみれば」くらい言うときもあります。(ただ、この一言もいつ言うかタイミングがありますよね。)


例えば、この時の「イマココ」は「あとほんの一息なんで、ちょっとだけでいいんでアドバイス貰いたい。今日で達成しちゃいたい。」かな?コレを読み取って、時に相手に合わせて「どこがどうできないか言語化してもらう」などの適切な過程を経て、子どもたちにはたらきかけます。


ここまでブランコに「座れる」ことを想定して話してきましたが、実はその前にもうひとつ大きな壁があるんですね。それはブランコに座ること。

1−2歳がチャレンジしますが、コレも手伝わない。コレは危ないという理由がまずあります。1対1でなければ抱っこしてホイッとのせてしまうのは危険。しっかりと座れないと、大体後ろに落ちてしまいます。自分でしっかりよじ登って座れるようになるまで待つのがいいと思います。


私が手伝うのは、コアマッスルがしっかりとしているのはわかっている子どもに対して、ブランコに繋がれている鎖が揺れてどうしても最後の一歩があがらない時。時々そういう子どもがいます。

その一回さえ出来てしまえばもう次からはコツが掴めてできるなと思った時だけ、鎖を動かないように持つようにしています。子どもの性格にもよるので、手伝わないでも次回にはできるなと思ったら手伝いませんけどね〜。


環境が許す限り小さい子どもたちにも「ブランコの周りに行くのはやめなさい」とはいいません。揺れる座り板に上半身をもたれかけて揺れたり時々ころんだりすることで「ブランコ」と「仲良く」なっていると思います。


この時の「イマココ」は「ブランコってなんじゃろうか〜?」とか、

「乗って遊ぶっていうのは他の子どもを見て知ってるけど、とりあえず相手(ブランコ)との距離を縮めとくか」 ←イマココ みたいなかんじでしょうかね?

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じっくりと観察しながら子どもの様子を伺っていると明らかに「できた」という瞬間がやってきます。そういう時に喜びをわかち合って、「お、やったね」「なんだ~手伝わなくても、じぶんでやれてるじゃん」なんて会話とニコニコ、そんなくらいで激褒めしなくても子どもは満足そうです。

こんな瞬間に自信をつけているようです。


☆この瞬間には「無駄に手伝わない」ことでより多く出会えますよ☆


<!以下最重要!>

ここまでの話、ちゃんと関心を持って過程を見ていれば、の話ですよ。

結果だけ褒めても効果半減です。

過程の共有は強いです!

連続性、過程を知らなければイマココ判定は難しいなとおもいます。


コレについてはもっと書きたいことがありますが今日はここまで。


(タイトルは変更しませんでしたが今回は例をブランコにしています)